テンビルEM(ツルバダ配合錠ジェネリック)を個人輸入で通販してPrEP(暴露前予防内服)を低コストで実践する方法

※2022年3月1日更新
新型コロナウイルスの影響で、現在オオサカ堂、ベストケンコー、ユニドラに配送遅延が発生しています。購入完了後到着まで2週間、長いときには4週間程度要しているようです。
オオサカ堂には配送ルートがいくつかあり、台湾経由便は早ければ購入完了後2週間ほどで到着しています。シンガポール経由や香港経由便もありますが、現在オオサカ堂の商品の多くは台湾ルートで配送されているようです。
※2020年3月9日追記
2019-nCOV(新型コロナウイルス)について、「抗HIV薬と抗インフルエンザ薬の併用による、新型コロナウイルスの肺炎症状治療が成功した」というニュースが流れましたが、報道にあったお薬はこちらの「テンビルEM」とは異なる薬剤です。
当該のHIV薬はロピナビルとリトナビルの配合剤である「カレトラ」というお薬です。Covid-2019に関する不確かな医療情報に流されず、国の正式な発表や、WHO(世界保健機関)による確実な情報を受け取るようにしてください。
目次
- 1. ツルバダ配合錠ジェネリック(テンビル EM)は個人輸入で通販するのがよい
- 1-1. 先発薬・ツルバダ配合錠と後発薬・テンビルEMのお薬代を比較
- 1-2. テンビルEMが安いのはオオサカ堂、買いやすいのはベストケンコー
- 1-3. ツルバダ配合錠を個人輸入してHIVをひと月1万円で予防しよう
- 2. テンビルEM(ツルバダ配合錠ジェネリック)ってどんな薬?
- 2-1. テンビルEMを飲む前に確認すべきこと
- 2-2. 効果は?
- 2-3. 気になる副作用と併用注意
- 2-4. テンビルEMを製造するシプラ社(Cipla)とは
- 2-5. インドの抗HIVジェネリックと国境なき医師団
- 3. PrEP(暴露前予防内服)ってなに?
- 3-1. Prep基礎知識 – どんな人に必要なの?効果は?
- 4. 参考資料・リソース
ツルバダ配合錠ジェネリック(テンビル EM)は個人輸入で通販するのがよい
このサイトでは、ツルバダ配合錠ジェネリックのテンビルEMという薬をつかってPrEPを行う方法をご紹介します。
ツルバダ配合錠は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の増殖を抑えることができる抗HIV剤です。陽性者の治療のほかに、PrEP(暴露前予防内服)と呼ばれる陰性者の感染予防医療の内服薬として、現在世界中で使用されています。
PrEPは、先発薬であるツルバダ配合錠(Truvada)とジェネリック双方で行えます。 世界で最も使用されているPrEPのジェネリックは、アメリカFDA(食品医薬品局)とWHO(世界保健機関)よって承認または暫定承認*1をうけたテンビルEMとテノフEMの2つです。
しかし、日本で承認されているのは先発薬のツルバダ配合錠だけであり、その薬価は1錠あたり3917.8円と高額です。また原則として予防医療での保険適用がない日本において、PrEPは全額自己負担でおこなう必要があります。
毎日の定期的な服薬が必要なPrEPでは、薬価の安いジェネリックが世界中で選ばれています。アメリカでは、シプラ社製の安価なジェネリックであるテンビルEM(TENVIR-EM)でPrEPを行い、生涯にかかる予防費用を大幅に節約することが一般的です。
テンビルEMを製造販売するシプラは、インド第2位のジェネリック製薬会社大手で、日本のメドレックス(TYO: 4586)とも業務提携を行うグローバル企業です。
しかし、先述の通りテンビルEMは国内で承認されていないため、海外から個人輸入をして手に入れる必要があります。個人輸入とは、患者自ら処方箋薬を海外から購入できる仕組みです。
日本の有名な個人輸入(代行)業者には、オオサカ堂やベストケンコーが挙げられます。
順を追って方法をご紹介したいと思います。
先発薬・ツルバダ配合錠と後発薬・テンビルEMのお薬代を比較
まずはクリニックや病院で先発薬を購入する場合と、個人輸入で海外版ジェネリックを通販する場合の費用を比較してみましょう。
ジェネリックであるテンビルEMの価格は、オオサカ堂、ベストケンコー、ユニドラの販売価格を参考に記入しています。
■ PrEPのお薬代比較
薬剤 | 購入方法 | 1錠あたり価格 | 年間コスト (1日1錠服用) |
ツルバダ®配合錠 (ギリアド・サイエンシズ社製先発薬) | 病院で処方 | 約4,000円 | 150~200万円 (*全額自己負担時) |
テンビルEM (Cipla社製ジェネリック) | 個人輸入 | 約200円〜500円 | 8~15万円 |
* PrEPには診察費や検査費など、お薬代以外の費用も定期的に発生します。詳しくは後述します。
* 通常、HIV感染症を治療する際にはツルバダ配合錠と他の抗HIV薬を組み合わせて治療を行いますが、PrEPではツルバダ配合錠の単剤で予防を行います。
テンビルEMが安いのはオオサカ堂、買いやすいのはベストケンコー
テンビルEM(ツルバダ配合錠ジェネリック)は、オオサカ堂やベストケンコーという個人輸入代行サイトを利用することで、インターネット通販で手に入れることが可能です。
両者サイトとも名前が少し怪しい、というかちょっとセンスがおかしいので警戒してしまうかもしれませんが、いずれも運営年数10年以上の老舗の大手オンライン薬局です。
個人的な意見ですが、価格で選ぶならオオサカ堂、使いやすさ重視ならベストケンコーを利用するとよいでしょう。
また、私はまだ使ったことがありませんが、2017年にスタートしたユニドラというサイトも、オオサカ堂ほどではないですが販売価格が安いです。3つのサイトにはそれぞれ一長一短があります。
テンビルEMをとにかく最安値で購入したいかたはオオサカ堂の利用がおすすめです。オオサカ堂では200件以上の商品口コミレビューが確認できます。
クレジットカードで購入したいかたはベストケンコーの利用がおすすめです。
万が一オオサカ堂でもベストケンコーでも在庫切れの場合、ユニドラでの購入がおすすめです。ユニドラもクレジットカードの利用が可能です。
■ 販売価格・決済方法・在庫状況をかんたん比較
テンビルEM最安値 | 決済方法* | 在庫の安定 | |
オオサカ堂 | ◎ | △ (クレカ不可/ 銀振りのみ) | ○ |
ベストケンコー | △ | ○ (クレカ&銀振り) | ◎ |
ユニドラ | ○ | ○ (クレカ&銀振り) | ◎ |
*ベストケンコー、ユニドラではそれぞれJCBとマスターカードのみ利用可能です。
■ テンビルEMの販売価格比較表(オオサカ堂,ベストケンコー,ユニドラ)
オオサカ堂 | ベストケンコー | ユニドラ | |
1本 | 6,632円 | 14,373円 | 13,158円 |
2本 | 10,758円 | 24,852円 | 22,752円 |
3本 | 15,121円 | 35,340円 | 32,355円 |
1錠あたりの料金 | 168.0円~221.0円 | 392.6円~479.1円 | 359.5円~438.6円 |
ツルバダ配合錠をオオサカ堂で購入すればPrEPが1ヵ月5千円〜可能に

オオサカ堂はPrEPジェネリック(テンビルEM)を最安値で販売しています。3本(90錠)をまとめて購入すればひと月あたり5,000円程度に抑えることが可能です。
先発薬であるツルバダ配合錠は処方箋医薬品なので、購入するためには病院で医師に処方してもらう必要があります。日本では厚生労働省に承認された後発薬(ジェネリック)が存在しないため、ギリアド・サイエンシズ社が製造する先発薬「ツルバダ®配合錠」のみを購入可能です。*2
先述の通り、海外ではテンビルEMというツルバダ配合錠のジェネリック(後発薬)がすでに開発されており、オオサカ堂などの医薬品個人輸入代行サイトを活用することでこのジェネリックを通販で購入することが可能になるわけです。
医薬品の個人輸入とは、国外の製造者や販売店から医薬品を個人的に購入し、輸入することです。通常、輸入手続きにはさまざまな規制と制限、手続きがありますが、ベストケンコーなどの個人輸入代行ストアを活用することで、その面倒な輸入手続きをすべて代行してもらうことが可能です。
この制度は厚生労働省のもと、輸入者自身による個人的な使用に用途を限定することで許可されています。背景には、外国で受けた治療を続けるために必要な医薬品や、日本に滞在する外国人が必要な常備薬を日本でも継続して服用する場合への配慮があります。また、ドラッグ・ラグ(Medical drug lag)とよばれる「欧米での新薬承認と日本での承認との時間差」によって、治療機会を損なうことのないようにするためという目的もあります。
参考:医薬品等の個人輸入について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/topics/0104/tp0401-1.html
Amazonやケンコーコムなどの通販サイトでもOTC (Over The Counter)医薬品を購入することはできますが、ツルバダ配合錠のような処方箋医薬品は取り扱いができないため国内通販で購入することができません。
テンビルEM(ツルバダ配合錠ジェネリック)ってどんな薬?
テンビルEMは、体内のHIVウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤と呼ばれるグループに属するお薬です。
現在の医学では、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)を体内から完全に排除することはできないため、人類はHIV感染症を完治させるには至っていません。
しかし、長期に渡って適切な治療を行うことで、体内でHIVが増殖するのを防ぐことはできます。HIVウイルスの増殖を抑制することで、人体の免疫機能を回復させて維持することができ、免役機能を維持することでエイズ (AIDS)の発症を先延ばしすることが可能となります。
テンビルEMは、アメリカ食品医薬品局(FDA)の暫定承認をうけており、現在世界中でPrEPのジェネリック医薬品として幅広く使われています。
商品名 | テンビルEM(TENVIR-EM) |
一般名 | エムトリシタビン (Emtricitabine) テノホビルジソプロキシルフマル酸塩 (Tenofovir Disoproxil Fumarate ) |
含有量(1錠中) | エムトリシタビン 200mg テノホビルジソプロキシルフマル酸塩 300mg |
剤形 | 錠剤(水色のフィルム・コーティング錠) |
製薬会社 | シプラ(Cipla Limited.) |
テンビルEMを飲む前に確認すべきこと
テンビルEMでのPrEP開始にあたって、医療機関でのHIV感染有無の検査などが必要です。開始前に以下を確認するようにしましょう。
- HIV非感染者であること
- 成人であること
- 腎臓に異常がないこと
- ツルバダ配合錠による過敏症の既往歴はないか
- B型肝炎に感染していないか (血液検査)
- その他の性感染症 (梅毒、淋病、クラミジアetc)に感染していないか
- 併用注意にあたる薬を服用していないか(ゾビラックスなど)
テンビルEMのPrEPでの飲み方
PrEPでの服用方法は現時点で主に3種類あります。
最も予防効果の高い一般的な方法は ①デイリーPrEP ですが、劇薬でもあるツルバダ配合錠には副作用リスクもあり、内服する量を最小限に抑える ②オンデマンドPrEP や ③Ts and Ss という方法もあります。
①デイリーPrEP
1日1回1錠の内服を毎日続ける方法です。
HIVの感染予防効果が得られるのは連続服用7日目以降です。
②オンデマンドPrEP(2-1-1)
性交渉の2〜24時間前に2錠、24時間後に1錠、48時間後にもう1錠を内服する方法です。男性同士の性行為(MSM)でのみ推奨されています。
③週4日の内服(Ts and Ss)
1週間に4錠を1日おきに内服する方法です。最初の7日間は1日1錠を毎日内服します。
日曜(Sun)、火曜(Tue)、木曜(Thu)、土曜(Sat)
(男性同士の性行為(MSM)でのみ推奨されています。)
効果は?
PrEPは、怠薬なく用法用量を守ることで90%以上の予防効果を発揮する、WHO(世界保健機関)やアメリカ、ヨーロッパ諸国で認められた効果の高い予防法です。
気になる副作用と併用注意
テンビルEMには、腎不全や腎機能障害など、いくつか重大な副作用が報告されています。もし服用後に下痢、吐き気、食欲不振、手足のむくみ、口の渇き、尿量の減少などが発現した場合はすぐに医師に相談するようにしましょう。
また、テンビルEMには併用に注意すべきとされるお薬も複数あります。アシクロビル(ゾビラックス)などほかのウイルス感染症治療薬を服用しているかたは必ず併用注意を医師に確認しましょう。
テンビルEMを製造するシプラ社(Cipla)とは
テンビルEMを製造販売するシプラ社(Cipla Limited.)は、インドのムンバイに本社を構える大手ジェネリック製薬会社です。国内製薬では第4位の時価総額(2019年調査)を誇り、インド最大の証券取引所であるボンベイ証券取引所で上場している公開企業です。
またシプラは、世界では発展途上国のHIV患者のための低コスト治療薬製造で広く認知され、アフリカでのAIDS撲滅に多大に貢献しています。
参考:シプラ社HP
インドの抗HIVジェネリックと国境なき医師団
インドでは、その特殊な知財特許事情から、低コストで早期にジェネリックを開発することが可能であり、世界最大の国際的緊急医療団体である国境なき医師団でも多くのインドジェネリックが治療薬として採用されています。
シプラは2000年台初頭に1日1ドルのHIV治療薬としてテンビルを発売し、世界中、特にアフリカから大きな称賛を得ました。それは、これまでの先発薬コストのたった4%で抗HIV剤を手に入れることのできる画期的なものでした。まさにシプラは、ガンジーの夢を体現したインドジェネリック製薬のリーディングカンパニーであるといえます。
いまでは、途上国でのHIV陽性患者の治療にインドジェネリックは欠かすことができない存在となっています。
PrEP(暴露前予防内服)ってなに?
PrEP(プレップ)とは、性交渉を行う前に予め抗HIV薬を内服することで、HIVウイルス感染のリスクを減らすという予防方法です。曝露前予防内服と呼ばれ、Pre-Exposure Prophylaxisの頭文字をとってPrEPと表記されます。
現在WHOに(世界保健機関)が認めているPrEPは、テノホビル(TDF)とエムトリシダビン(FTC)という2つの医薬成分の合剤を内服するものです。先述したように、テンビルEMにはこの2剤が合成されています。またPrEPとして、この合成剤は2012年にアメリカで、2016年にEUで承認されています。
Prep基礎知識 – どんな人に必要なの?効果は?
実際にPrEPはどのような人に必要なのでしょうか?PrEPが推奨されるひと、逆に行えないひと、その効果をみていきましょう。
PrEPが必要なひと
以下に心当たりのあるかたは、医師や看護師にPrEPについて相談してみるとよいでしょう。
- HIV陰性で、コンドームなしで性行為をすることがあるひと。
- HIV以外の性感染症(クラミジア、梅毒など、特に直腸感染のSTD)にかかったことがあるひと。
- パートナーがHIV陽性のひと。
- 性行為の際に薬物を使用することがあるひと。
ハイリスクな性行動を起こしやすいと自覚のあるかたは、特にPrEPが推奨されます。そのような危険な性行動を選択する大きな原因に、メンタルヘルスが挙げられます。性感染症とメンタルヘルスの関わりについては別の記事で詳しく紹介しています。
PrEPを服用してはいけないひと
一方、以下に当てはまるかたはPrEPを服用してはいけません。HIV感染者が治療でテンビルEMを内服する場合、最低もう1種類の薬剤と併用する必要があり、誤った用法による薬剤耐性菌を生み出すリスクがあります。
- HIV陽性者
PrEPが通常は不要なひと
- 性交渉の際にはいつも必ずコンドームを使用しているひと
- 抗ウイルス療法をうけていてウイルスの量が検出値未満のHIV陽性者をパートナーとしているHIV陰性者
※ウイルスの量が検出値未満とはHIVの感染力がないことを意味しています。
高い効果と多くの医学的根拠
先述した通り、PrEPは正しく行うことで90%以上の感染予防効果があると考えられています。
1日1錠を内服するデイリーPrEPでは99%の予防効果があるともいわれています。また、オンデマンドPrEPでも、コンドームをつけずに肛門での性交渉を行う男性400人を対象にした臨床実験において86%の感染予防率を証明しました。
PrEPを服用している人がHIVに感染するリスク直面した場合、PrEPの内服薬がHIVウイルスの細胞への侵入・複製を阻害します。この作用がHIV罹患を防ぎ人体をHIVの感染から守ります。
世界で策定されるPrEPガイドラインや最新事情
現在、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど一部の欧米諸国では、PrEPが承認され保険適用で安く継続することができます。アメリカでは10万人以上がPrEPを行っています。
アジアでも近年台湾とタイで予防薬として承認され、HIV感染予防が低コストで可能になりはじめています。WHOも2015年にガイドライン(すいません何故かスペイン語版しかみつかりませんでした)を策定するなど、PrEPは世界中で支持されています。
日本では、残念ながらその情報すら積極的に知らされておらず、最もHIV感染に関する情報を得ているはずの陽性者でもPrEPを知らないケースがまだまだ多い現状です。過去にPrEP in Japanがゲイ専用のマッチングアプリで行った調査では、PrEPの認知度は過半数を切る42%でした。
コンドームという安価な予防方法は確かに存在します。しかし、グローバルでは当たり前になりつつある効果の証明された予防医療の正しい知識を得て、ひとりひとりがPrEPの必要性を考えその後のアクションを決めることは大切なことでしょう。
参考資料・リソース
*1. 「暫定的」なFDA承認とは、 その製品がアメリカにおいてあらゆる安全性、有効性、および製造品質基準を満たしていることを意味しますが、合法的な市場保護のためアメリカ国内のみでの販売となります。 要約すると、FDAのこの承認ステータスは、このバージョンのジェネリックがブランド品(Truvada®)と同等であり、アメリカ国内の薬局で同じ棚に陳列されるためのすべての品質基準を満たしていることを意味します。
*2. 特別な事情の元、医師が薬監証明を発行し個人輸入した医薬品を患者に処方することはあります。
PrEPの基礎知識 – 国立国際医療研究センター
http://shclinic.ncgm.go.jp/prep.html
英国でのPrEPガイドライン – i-base
http://i-base.info/wp-content/uploads/2019/04/uk_prep_guideline_2017-Japanese.pdf